パイプのけむり     團伊玖磨・全仕事 トップ頁へ   作目次へ
「僕のハロー・グットバイ」タイトルだけでも、おしゃれなムードが漂っていて読んでみたくなる。
 先生の写真も文章とともに、的確に世界各地の特徴を写していて体力的にも最盛期の旅への思い入れが随所に散りばめられている。
 デジタル時代の冷たい表情と異なる銀塩写真の暖かい雰囲気が懐かしい。
 「パイプのけむり」詳細に描写された(第24巻「じわじわパイプのけむり」P.85「灰」)長髪の美女の背中からの写真も掲載されていて、パリ、壮年の頃の先生にどんなドラマが、ロマンスがあったのか詮索したくなる。「バーフォレーションの穴の飛んだフィルムをかけた時の映写のように・・・・・・夢の中の美女がパリの空の下で夢のように消えて行った。」という件は幻想的な表現だ。
 堀口大学先生の最後の詩集「虹消えず」215頁にある詩「タヒチ島から」に残された「音探し地上をさまよう巡礼者團伊玖磨君・・・・・・・」の詩に赤銅色のぴちぴちした肌のタヒチ美人と重ね合わせると見えてくるような気がするから不思議である。病床の堀口先生を元気つけるためにタヒチから送られた絵葉書に先生の大きな愛を感じるのは私だけなのだろうか。
 カメラの好きな僕にとって、あとがきの「撮影は、何十分の一秒、何百分の一秒のハローであり、ほんの一瞬の内にハローがあり、グッバイがあると、一瞬目を覚まし、映像を固定しグッバイと言いながらシャッターを閉じてしまう、不思議な生き物であるとご自分と重ね合わせている。先生は、この頃から写真に傾倒されたと新橋駅前にあるカメラ店の赤石さんが話しておられた。
書  名 価 格 編 者 発行所 頁数 寸  法
僕のハロー・グッドバイ
初版:1973.7.30
2,400円 團 伊玖磨 朝日新聞社 218 213×186 ×22 
 ID タイトル 頁数 掲載紙 掲載日
1 東京→パリ→ロンドン→ミラノ 5
2 プセット→エルサレム→アテナイ→ロドス島 37
3 ベルリン→パリ 81
4 広州→東京 115
5 北京→モスクワ 153
6 モスクワ→東京 185
7 あとがき
(1973年夏〜アムステルダムの運河のほとりで)
巻末
8 写真:團伊玖磨/装丁:沼田望